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自己破産と給料の差し押さえ

自己破産と給料の差し押さえについて

平成16年の改正で、給料が差し押さえられるようなことはなくなりました。

平成16年の改正

平成16年の改正前は、自己破産しても債権者が給料を差し押さえるなどの個別執行がなされる余地があったのですが、平成16年の破産法の改正によって、破産に際しては、次のような手続が禁止されたり中止されることになりました。

これによって、実質的に、自己破産しても給料が差し押さえることはなくなりました。

■強制執行
■仮差押え
■仮処分
■破産債権を被担保債権とする一般の先取特権の実行
■破産債権を被担保債権とする留置権(商事留置権は除きます)による競売

これは、破産手続と免責手続の一体化と破産者の経済的再生を図るという目的で改正されたものです。

よって、免責許可の申立てがあって、かつ、同時・異時廃止決定の確定や破産手続終結の決定があった場合には、破産債権にもとづいた強制執行や国税の滞納処分等が禁止されることになります。

もしすでになされてしまっていても強制執行等については中止されることになったのです。

要するに、自己破産した場合は、手続が終結した段階で免責許可の申立てをしていれば、給料債権が差し押さえられることはないといえます。

関連トピック
破産の不利益について

破産手続開始決定がされると、破産者は破産決定時の財産の管理処分権を失うことになります。

つまり、自分では自由に財産を処分できなくなるということですね。

といっても、新たに働いて財産を得ることはできますし(新得財産といいます)、その新たな財産自体の処分は自由にできますので、日常生活を送るにはあまり不自由を感じないかもしれません。

具体的破産の不利益・制限は?

日常生活に不自由はないとはいえ、破産すると次のような不利益や制限を受けることになりますのでよく覚えておきましょう。

居住が制限されます。
破産者は、裁判所の許可がないと自由に引越しや長期の旅行ができません。

これについてはちょっと不自由があるといえるでしょうか・・・

財産の管理処分権を喪失します。
これは、前述したことですが、破産者は破産決定時の財産※1の管理処分権を失います。

そして、この財産は管財人に属することになります。 とはいえ、差押禁止財産はこの中には含まれませんので、破産者が自由に処分できます※2。

差押禁止財産というのは、要するに破産者の最低生活費のことです。これまで取り上げられてしまったら通常の生活ができなくなってしまいますので・・・。

ちなみに、この自由財産の金銭的なものは、標準的な世帯の必要生計費の3か月分に相当する金額ということで99万円とされています。

1か月33万円ですね。また、裁判所の判断によっては、これ以上になることもあります。

※破産財団といいます。
※自由財産といいます。

説明義務・重要財産開示の義務があります。
破産者は、管財人や債権者集会などで破産に至った経緯などを説明する義務があります。

また、破産手続開始の決定後遅滞なく、所有している現金、預貯金、不動産、有価証券その他裁判所が指定する財産の内容を記載した書面を裁判所に提出しなくてはなりません。

引致されることがあります。
要するに、破産者が説明義務を果たさなかったり、財産の占有管理を妨害したりするときには、裁判所が必要と認めれば身体を拘束されることがあるということです。

通信の秘密が制限されます。
これは、裁判所が、破産管財人が職務を行う上で必要と認めて転送嘱託をした場合には、破産者への郵便物が破産人に配達されるということです。

つまり、管財人は破産者の郵便物を開封して見ることができるんですね。

公法上の資格が制限されます。
破産者でも選挙権や被選挙権などの公民権は失いません。

ただし、その一方で、弁護士、公認会計士、税理士、司法書士などの一定の職業については就くことができなくなります。

私法上の資格が制限されます。
破産者は株式会社の取締役や監査役になることができません。

また、後見人や遺言執行者などにもなることができません。

といっても、サラリーマンの場合には、破産者であることは解雇自由にはなりませんので、破産したからといって解雇されることはありません。

官報に掲載されます。
破産手続開始決定を受けたことが官報に掲載されます。

とはいえ、裁判所から会社へ通知されたりはしませんし、この官報をじっくり読んでいる人もそうはいないでしょうから、それほど心配しなくても大丈夫です。

破産者になると戸籍や住民票に記載されてしまうかと心配な人もいるかもしれませんが、それもありません。

ですから、子供の就職や結婚に支障が出ることもないでしょう。

同時廃止

同時廃止とは、破産手続開始決定と同時に破産廃止の決定がなされた場合のことです。

この場合は、財産の管理処分を失ったり、通信の秘密が制限されたりということはありませんが、公法上・私法上の資格の制限はありますので注意して下さい。

とはいえ、これらも免責が確定して復権することになればなくなりますが・・・

ちなみに、免責決定の後は、クレジットカードの取得は難しいと思われます。

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