| 借金の取立ての際の脅迫について 警察に相談する際は、客観的に証明できることや問題となる状況をリアルに表現することが大切になってきますので、できればその状況を録音しておいたり、または第三者に証人になってもらうとよいと思われます。
 態様により刑事問題 取立ての人が、借金返済のために「目ん玉1個売れ」とか「腎臓を売れ」などと強迫したことで、恐喝罪による有罪になったのは記憶に新しいところです。
 借金の返済を求めること自体は正当な権利なのですが、このように態度や言葉によって刑事問題になることもあるのです。
 
 この権利の行使や実行をする場合の方法は、社会的相当性の範囲内にあるかどうかが問われることになります。
 
 要するに、その目的を果たすために、社会一般として、それが許される範囲内のものなのかが問われるのです。といっても、かなり抽象的なので、より具体的にみていきたいと思います。
 
 まず、刑事事件になると考えられる行為には、恐喝、恐喝未遂、脅迫、強要、暴力などがありますが、借金の返済ということになりますと、この中でも特に恐喝・恐喝未遂が問題になると思われます。
 
 そこで恐喝・恐喝未遂についてですが、まず相手や家族などの関係者に対して、生命・身体・自由・名誉・財産・業務等に害を与えるような言葉を発した場合があげられます。
 
 より具体的には、「まわりにいいふらすぞ」、「小指を出せ」、「海に沈めてやる」、「家には帰さないぞ」などが典型的な言葉ですが、これらはたとえ穏やかな口調で言ったとしても、内容が反社会的なものであれば犯罪になります。
 
 「ひょっとしたらやりかねない」と思われる程度の現実性があれば十分犯罪になるのです。また、たとえ自分でやらなくても他の仲間がやりかねないのであれば同じことです。
 
 次に言葉ではなく態度で危害を加えるような様子をした場合があげられます。
 
 より具体的には、「首を絞めるしぐさをする」、「ナイフ等の凶器になるものを振り回す」、「ヌンチャクなどの凶器があることをわざとらしく誇示する」、「目の前に拳を突きつける」などは犯罪になることがあります。
 
 さらに、暴力団などとの関係をにおわせて、その勢威を示した場合があげられます。
 
 より具体的には、「うちの若い連中が黙っていないぞ」、「欠けた小指や入れ墨をちらつかせる」、「暴力団員と一緒の写真をわざとらしく見せる」などの行為をした上で、言葉や態度で借金を返済しないとこれらの勢力からの圧力がかかるようなことを感じさせ、怖がらせれば犯罪が成立します。
 
 ただし、借金の返済の際に、大声を出したり、繰り返し怒鳴ったりといった場合は、ちょっと微妙です。なぜなら、普通に考えても債務者のほうに誠意がない場合には、致しかたないこともあるからです。
 
 なのでこのような場合は、総合的に判断することになります。
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